普段、お仏壇に手を合わせる時やお墓参りの時、当たり前にあげるお線香ですが、実はお線香をあげることには深い意味があります。
一つ目は、お線香の香りは「故人の食べ物になる」と言われています。
亡くなった方は49日までの間に極楽浄土への旅をしますが、その旅の間に食べるものがお線香の香りだと言われています。仏教経典の中にも「死後の人間が食べるのは匂いだけ・・・(続く)」といった記述があります。故人を偲んでお線香をあげるときは、生前好んでいた香りに近いお線香を探してお供えすることも供養する私たちのひとつの気持ちの込め方になるのでないかと思います。
二つ目は、お線香の煙で「自身の身と心を清める」という意味があります。
よく、お線香の火は口で消してはいけない、と言いますが、これには人の口は人をだましたり、悪口を言ったりすることもあることから、汚れている、と考えられています。そのような汚れた口でお線香を消してはいけないというわけなのです。お線香の煙はそのような汚れた身や心を清めて、仏様と向き合うためのものだと言われています。ちなみにお部屋や空間を清める、といった意味もあるようで、お客様がいらっしゃる前にお線香を焚いて、場を清める、といったことをやっていると伺ったこともあります。邪気払いにセージを焚いたりすることからも、お線香の煙は浄化をしてくれるものでもあるようです。
三つ目は、お線香の煙が「あの世」と「この世」をつなぐ架け橋になると言われています。
煙を通じて、仏様と対話することができるのだそうです。亡くなってから感じていることや生前に伝えられなかった想いもお線香の煙にのせて、お話することができます。
このことを踏まえると、お線香をあげる、という行為は非常に尊く、とても意味のあるものだと思えてきますね。
ただあたりまえのことのように、仏様にお線香をあげていたことも、これからはこのような意味深いものなんだということを認識して行ってみると、より深い供養ができるのでないかと思います。